An Imitation-機械仕掛-
AKiHiCo
たぶん僕はずっと幻を見ていたんだ
他人同士が仲良く集まって
微笑んで喋っているその内側で
交錯する真の思いを見抜けずに
見えない糸で操られた世界
そう僕はマリオネット
幻の水を含んで潤うは
創り上げられた悲しみの城
妄想と現実の境界線が
いつの間にか曖昧で
そこに居る僕は誰なのかと
遠くで微笑んでるのは確かに
僕なのだけれど、
笑っているのか泣いているのか
嗚咽が漏れるのはどうして、
全部偽りだって今更
気付いたとでも言うの、
最初から幻だと判って踏み入れた筈なのに
いつから判らなくなったの、
この悲鳴は誰にも届かないまま
内側で砕けて散って
僕なんて居なくても
何事もなかったかのように
時計の針は廻り続けるのだから
僕が消えても
会話は途切れず流れてゆく
楽しそうな声が響き続けて止まらない
それらが耳に入らないように
両手で塞ぐのはどうして、
怖いから、
知りたくないから、
向かい合うのが恐ろし過ぎて
気付けば僕の方から背を向けて
一歩踏み外していたんだ
マリオネットでもいつの日にかは
心を取り戻せる
そう信じさせていて