ロンリー症候群
はじめ
眠ろうかそれとも詩を書こうか考えた
結局詩を書くことにすることに決めた
暮夜のこの時間はこの曲を聴く耳以外静寂に満ちている
この中で僕は歯で曲のリズムを刻みながらキーボードを打っている
冷たい風が僕の両肩を優しく通り過ぎて落ちていく
電気を消してみる
静寂さはさらに増し
闇が黒幕のようにゆっくりと降りてくる
一瞬視界がなくなる
僕は恐怖を思い出した
誰かに殺されるということ
僕はその恐怖をゴクリと飲み込み
心の中の底に貼り付けておいた
闇にすぐ目が慣れてくる
パソコンの画面の光のお陰で
僕は身を縮め込み体を暖める
闇に浸っていると冷たいのだ
パソコンの光だけが暖かくて手を当ててみた
霜焼けになっていた手の動きが少しだけ柔らかくなった
僕の中から苦しいものが後ろへ抜けていった
ボ・ク・ハ・コ・ド・ク・デ・ス
そう打ちたかった
しかし詩を書いているとなぜかみるみると力が湧いてくるのだ
僕は一人暮らしで布団の上でパソコンを打っている
今日もまた真夜中を通り過ぎた頃に詩を書いている
後でコンビニでも行こう
腹が空いたから
僕は急に陽気になり思いつくままに詩を書く
僕はエンジンがかかるまでしばらくかかるのだ
闇と親密になり孤独と性行する
吸い込む闇は最高の気管支拡張吸入器だ
部屋全体が僕の体となる
闇の温度が上昇していく
それとも僕が室温に合わせて体温を下降させているのか
僕は爬虫類以下だ
壁に伸びた影からぐるぐる巻きの舌の影が飛び出している