弔いの言の花
なかがわひろか

私は毎日目に触れる、到る処へ
花を飾ります

あなたには赤い花を
あの子には青い花を
生まれることのなかった者には
黄色い花を送ります

私は世界に一人になりました

もうこの世界には
言葉も必要ありません
蔑みや
虐げや
辱めの
そんな言葉はないのです

最も私を傷つけたものはもうありません
一人になった私は
幸せですか?

もうこの世界には言葉はありません
喜びや
寂しさや
感動を
訴えることもできません

私は本当に幸せでしょうか

私は一人になって

私は一人になって

もう何も伝える必要がなくなり
もう何も伝えることもできなくなりました

私は一人になりました

私は一人になりました

先に逝った者たちへ
私は言葉の代わりに
ただ来る日も来る日も
花を捧げるのです

(「弔いの言の花」)


自由詩 弔いの言の花 Copyright なかがわひろか 2007-02-26 00:04:04
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