太陽の巨人たち
ジム・プリマス
太陽の巨人達は異国の地に奇怪な宮殿を建てた
その宮殿の中で不思議な業を施して
山から掘り出した石ころから宝を生み
水の出ない土地に掘った井戸から財を築いた
異国の人々は巨人達の業に感嘆と畏怖を覚え
そして彼らは巨人達と一つの契約を結んだ
財宝の一部と人の心を魅きつける新しい道具を与えるかわりに
異国の地に幾つもの新しい宮殿を建てても構わないという契約を
異国の人々は人の心を魅きつける新しい道具に満足し
そして自分達の財宝がたくさん増えたことを喜んだ
しかし異国の地の賢者達は眉を顰めていた
彼らは巨人達があまりにも良い言葉ばかりを口にし
あまりにも気前良く施しをすることに疑いを抱いていた
契約を終えた巨人達は幾つもの新しい宮殿を建て
そして異国の地の人々はさらに沢山の財宝を手にした
彼らは間違いなく以前よりは幸福になったと信じていた
しかし異国の地では奇妙な出来事が頻繁に起こるようになった
海で元気に泳いでいた魚達がいなくなってしまった
空を優雅に飛んでいた鳥達の姿が見えなくなってしまった
谷で鳴いていた小さい虫達の美しい調べが聞こえなくなった
山に鬱蒼と茂っていた緑の森がだんだん消え始めた
それまで懇々と冷たい水を湛えていた泉が枯れていった
綺麗な小川のせせらぎは黒く濁り異臭を放ち始めた
その頃から不思議で奇妙な疫病が子供達を蝕み始め
そして美しい娘達はつぎづと異形の赤子を生み
老人達はそれまでよりも早くに年老い死ぬようになった
異国の地の賢者達はこの不思議で奇妙な出来事の全てが
太陽の巨人達と契約を交わした後に起こったことを知っていた
賢者達は異国の地の人々にそのことを知らせたが
愚かな人々は彼らの思慮深く賢明な言葉に耳をかさなかった
しかし時が経つにつれて人々は賢者達の言葉の意味を知った
そして彼らは遂に太陽の巨人達に
契約を反故にするよう申し入れた
ところがそれまで良い言葉ばかりを口にして
気前良く施しをしていた太陽の巨人達は
異国の人々の申し立てに対して酷い仕打ちをした
太陽の巨人達は異国の地の人々を宮殿の中には一歩も入れず
申し立てをした人々をことごとく打ち倒そうとまでしたのだ
彼らは不思議で奇妙な出来事の源を知っていたし
その源を巧妙に取り除く業もちゃんと知っていたが
自分達が手にしたとてつもなく沢山の財宝の中から
その業のために必要なほんの僅かな財宝を使うのを惜しんで
異国の地の人々に最初からその業を教えようとはしなかった
その遥か後にその報いが自らの身に降りかかることも
とてつもない財宝も
その素晴らしい技すら失ってしまうことも知らずに
彼らが信じ込んでいた
富こそ最上とする真理は最初から歪んでいたのだ
創造主がそのような真理を咎めないはずもないだろうに