依存性
憂
彼女は脆くて 恐ろしく美しかった
「わたし 依存症なの」
僕の告白に彼女はそう答えた
不安になって 疑って
ひどく束縛してしまう、と。
それでも僕の彼女への気持ちは変わらなかった
ぜんぶ、受け入れようと思った
僕の言葉に 彼女は柔らかい笑みを見せた
携帯は毎日 何度も何度も鳴った
彼女は電話ごしに泣いている時もあった
愛しかった 本当に
だから 出来る限り何時間でも彼女に会いに行った
それでも不安を感じていたのだろう
携帯の鳴る回数が増えていく
一度でも出れないことがあると彼女はヒステリーを起こした
泣き叫ぶ彼女 僕は約束を破った
鳴り続ける携帯の電源を切り 彼女の元へ行くのをやめた
彼女が嫌いになった訳じゃない
ただ もう限界だった 僕は一人 目を閉じて涙を流した
2週間もすると携帯は鳴らなくなった
けれど それに引き換え彼女の悪い噂が流れ始めた
"誰とでもヤってるらしいよ"
それを聞くと体が震え 気付くと彼女の家へと走っていた
部屋に鍵はかかっていなくて 部屋には彼女がいた
久しぶり、としか彼女は言わずに虚ろな瞳で微笑んだ
首筋の赤色を見た瞬間 言葉より先に手が出てしまった
パチン
全部 悪いのは僕なのに それでも彼女は笑っていて
「痛かった?」
と 僕に聞く。
中途半端で ひどく残酷なことをした と 気付くと
僕は彼女を抱きしめていた
「どこか遠くに行こう 二人で」
彼女は泣いていた
僕の目からも涙が流れた
僕も抱えていく 彼女の辛さを
もう絶対に中途半端なことはしないから
愛してる
誰よりも
だからいいよ。僕に依存して
ずっと、君と一緒にいるから