ガラクタ
三架月 眞名子

ガラクタ

ずっと抱えてた

重みで腕が青くなっても

壊れた破片が肌に刺さって紅くなっても

ぎゅっと抱えて放さなかった


他のだれがそれを

"ただのガラクタ"

だと言っても

ボクにとっては

"意味のあるガラクタ"

だったから…


ただでさえガラクタはガラクタなのに

意味がないなんて言われてしまうガラクタ達が

あんまりに惨めで 独りぼっちに見えたから

せめて同じく独りぼっちなボクが

一緒にいてあげないとって思ったんだ



"今日からキミ達はボクと一緒にいるためのガラクタ"




ほら

存在理由が生まれた

もう無意味じゃないよ・・・


そうやって

ボクはガラクタたちに近づいて

ガラクタたちを利用した

ボクが独りぼっちじゃなくなるために

もう寂しくないように

利用したんだ

優しさでも慰めでもなく


ボクが抱えたものは

ガラクタだけじゃなかった

罪悪感という

もっと重厚なものまで

抱きしめてしまった

重くて重くて手が千切れてしまいそうだよ

なんて滑稽な一人芝居

さぞガラクタたちも笑っているだろうと

涙目で覗き込むんで息を呑む


キラッと光る無数のガラクタ

その美しさといったら

ダイヤモンドにも劣らないくらいで

ボクの醜さも利己的さも

すべて分かった上で微笑んでいるような

そんな温かな輝きで


だからボクは完全に泣いてしまって

彼らにこう訊ねたんだ


"ずっと側にいてくれるかい?"



すると

ガラクタたちは

またキラッと光った


ボクは抱きしめる手をぎゅっと強めた


自由詩 ガラクタ Copyright 三架月 眞名子 2007-02-24 17:29:56
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