お題/軽くない身体
茜井ことは

始めて二週間になる緑茶パックも
特に変化を齎せなかった肌を辿る
少し途切れた左の眉毛に
這わせた指が
眉間に食われるまで




捨てた眉毛も必要な眉毛も
同じ名前なら
区別なんて、本当はどこにもないのに


あなたはあたしの
指先が美しいと言うけれど
この爪は切り落とされた瞬間に
どこまでもごみになるのよ




あの日削がれた眉毛が宙を飛ぶ
外は嵐で怖いから
ほこりが絡まり合っている
机の裏に住みたいな


新しいモップも
やはりこの埃の大群は取り除けなかった
こうして汚れた部屋に寝そべるあたしは
また肌にニキビを培養するのだろう





自由詩 お題/軽くない身体 Copyright 茜井ことは 2007-02-24 13:19:11
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