月夜見歌
朱雀
朔
暗い闇夜に 星は降り
褪めた吐息を ひと抱え
虚舟に 腰掛けて
平らな川面を 往来せん
二日月
茜の空に 銀の糸
透ける光が 胸を射し
灯影に 頬も紅を注す
繊月
掛かる けわいに こころ奪われ
穏やかならぬ 口伝を
後の祭りと 気付かせて
昇る虚月の薄笑
破鏡
物のはずみに 落とした染みは
やがて薄れて 目立ちはせぬが
どこで見てたか唐烏
かたわれ月に告げ知らせ
十三夜
待ち侘びたりと 祈りを捧ぐ
せめて ひとたび その瞳に写り
情思の双葉を 宿らせ給え
望月
愛ずらし姿に 暫し見蕩れて
待ち侘び続けた 人影も
槐夢と怪しみ 声すらかけず
不知夜月
漫ろがましき 宵闇に
猶予いながら 浮かぶのは
確かに 昨日の優姿
遮る雲に 呟めく詫言
十七日月
心躍らせ 立待つ薄暮に
現れ出る 影ひとつ
十八日月
胸走りは 納まらず
昨夜より長い 居待ちの月に
憂いと安堵の 溜息ふたつ
十九日月
痺れを切らす その前に
ふらりと浮かぶ 臥待月
孤衾を敷く手に 三度の迷い
二十日月
やがて夢路に 潜る境の
夜更けに出し 更待月
おぼろに眺めた 木の四つ
二十三夜待ち
真夜に昇る 弓張りに
二往の願立 夜を明かす
晦
巡る月日に 思いなずらえ
寄せては返す 虚舟が
月に習って 川傍に隠れ
光彩放つ 新月を待つ
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月下の幻視者