月輪譚
朱雀

一夜続いた新雨も上がり

濡れた草生くさふい伏したれば 

まぐれ入るのは暁月夜あかつきづくよ


古人いにしえびとの眼前に

甚だしくも悠然と 

息呑むほどの眉目姿みめすがた


日ごとれゆく寂しさに

嘆きの霧は晴れ退かず

幾千代千夜 重ねた先は

星斗となりて消え行かん


とどのつまりは太陽の夢

吐息は猶予い狂気ルナと化す

冷光纏い魂魄こんぱくだけが

月に憑かれて月読つくよみに就く


自由詩 月輪譚 Copyright 朱雀 2007-02-24 11:29:41
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月下の幻視者