雪の子守歌
佐羽美乃利

疲れた人よ

今は静かに窓辺の椅子にもたれ
瞼を閉じて

雪の花片が奏でる歌を
聴きたまえ


懸命に生きて
なお悔いと苛立ちに
さいなまれる人よ

この星の底まで降りて
すべてを忘れ
眠りたまえ


弱々しく怯えたまま
儚く消えてゆこうとする人よ

あしたは
きっぱりと美しい棘を持つ
真紅の薔薇として
眼を覚ませ


誠実ゆえに
傷つき倒れかけた人よ

永遠から永遠へと
絶え間なく
生命の糸を紡いでいる
見えざる掌に包まれて

この冷たく白い夜に
清められた心音を
透きとおる風の旋律を

聴きたまえ









自由詩 雪の子守歌 Copyright 佐羽美乃利 2007-02-24 10:22:09
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