濡れて候
佐々宝砂

若くて、凄くて、悪い、あいつら。
なんてそうそう簡単にはいませんね。
ふぷい。
なんて思いつつ煙草を吸う。
ベッドに腰掛けて。
裸で。

ベッドで煙草を吸わないで、
と言われるのはいつも私だった。

若くてバカで情けなかった私。
酒飲んで彼氏の膝にげろ吐いた私。
コンドームがなくてあたふたした私。
ラブレターを三十通出してそれでも振られた私。
というものが存在したことは
今となりゃ隠してもいいし
笑い話みたいなもんだが
事実は事実だ。
うむ。

抗鬱剤を飲むとのどが乾くから
いっぱい水を飲む。
ぽちゃぽちゃおなかのなかで水音。

外側以外は
ぐしょぬれですね。


自由詩 濡れて候 Copyright 佐々宝砂 2004-04-17 04:25:53
notebook Home 戻る