不完全な一日
なかがわひろか

今日もまた一日を不完全に過ごす
なにも完成せず通り過ぎるだけの
長い一日

昨日あの娘は一日を完成して
嬉しいよお、嬉しいよお
と云って
何も残さず死んでしまった
彼女はきっと安心したんだろう

空しいよお、空っぽだよお
彼女は毎日こう云っていた

彼女はきっと満たされたろう
彼女はきっと笑っていたろう

彼女の声が頭を響く
なんだよお
なんだよお
あたしは完全なんだよお
あたしはなんにも
悪かないよお

彼女は本当は悲しかったろう
彼女は本当は
泣いていたろう

彼女の声を唱えながら
彼女の声を唱えながら
僕はまだ不完全な一日を繰り返す

(「不完全な一日」)


自由詩 不完全な一日 Copyright なかがわひろか 2007-02-24 00:37:24
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