悲しみの生まれるところ

手を伸ばせば届くけれど
すぅっと零れ落ち消えてなくなってしまう

今まで見てきた景色の中で一番切なくて儚い
そんな匂いのする場所

悲しみの還るところ

遠ざかる記憶の中で
誰に知られるでもなくそっとたたずんでいる

ふぅっと息を吐けば一瞬にしてとめどなく
あふれてきそうな姿の場所

光の生まれるところ

暗い暗い夜の闇に
ただぼんやりとでもしっかりと具現された

そぉっと月のようにやさしくときに痛い
そんな感触のする場所

悠久の還るところ

長い長い時間の中で
幾度ともなく激しく緩やかに繰り返されている

-この胸に-