君の歌を聴いて
はじめ

 悲しくなるとこの歌を聴きたくなる

 感傷的な僕はこの歌を聴くと涙を流してしまう

 この閉鎖的な暗闇の部屋を出たい

 外は夜でも明るく暖かい光で満ちている

 この歌を持って外に出た

 僕は何処に行くべきか知っている

 この切ない気持ちは君のところから流れている

 僕の感情と君の感情が共鳴し合っている

 君もこの歌を聴いているのだろうか

 閉ざされた空間に君はまだいるのだろうか

 だから僕の感情と君の感情が共鳴し合っているのだろうか

 僕が今助けてやる

 君をそこから助けてやる

 君の輪郭が溶けて僕の心が流れ出す

 複雑な感情が入り交じった僕の気持ちも君の元へと向かっていく

 僕の気持ちと君の気持ちが出会って結び合わさる

 そこで君と僕は出会う

 憂鬱な四月の夜に君と僕は出会った

 でも本当に出会ったわけではないけれども

 少しずつ手に取るようにわかるように僕は君に近づいている

 君の気持ちは全てこの風に乗って僕の心に伝わってくる

 まるで母と子を繋ぐ臍の緒みたいに

 君の残像を僕は触れる

 君の残像にキスをする

 いつしか僕は君に出会っている

 君の姿は無いけれど

 僕は君に重なることができる

 僕は君を抱き締めることができる

 君の唇は僕のもので

 君の瞳は僕のものだ

 この部屋には静寂さが戻っている

 僕のいた部屋と同じ雰囲気のする部屋

 君の温もりを感じる

 君は何処へ行ってしまったのだろうか


自由詩 君の歌を聴いて Copyright はじめ 2007-02-23 11:51:09
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