狩野川
少しせつない音楽にのせて
ラジオから聞こえる "放送を終了します"
深夜1時に眠りにつく
わたしは起きてる この週末を終わらせたくはないから
ほどなくして砂嵐がきこえる
きっと
こんな風に誰もが寝静まった地球に 平和な午後の訪れたとき
わたしだけが起きているなんて特権
許されないんだろう
この静寂もまた みせかけで
いま この瞬間にも生まれる憎しみ、悲しみ、喜び
わたしだけが この時間の流れから解放される
そんな特権、許されないんだろう
午前2時すこし前
おだやかな音楽は はじまりの予感
わたしの中で 夜はまだ続いているというのに
それでもラジオは消さない
そんなことに意味はないのだ
遥か悠久の昔を想う
百年先の未来を想って
ほどなくして
今あなたと 呼吸を合わせて
体温の伝わる速さでしか生きられないと
サン=テクジュペリ
時空の流れに開かれた、隠し扉の向こうに
ひとりで行くのは 怖いよ
怖いよ…