海に穴が空いていた
ぽえむ君

海に穴が空いていた
ぽっかりとしたその穴は
なぜか魅力的だった
吸い込まれるように入っていくと
太陽がごうごうといびきをかいて寝ていた
邪魔にならないように脇を通り抜けて
どんどん下がってゆく
穴は続く
明るい場所があって
そこは団地が立ち並んでいた
公園のブランコで遊んでいる少年がいたので
声をかけると
鍵を渡してどこかへ行ってしまった
今度は自分がブランコに乗って
誰ともなく待つことにしたが
風が吹いてきたので
また歩き続けた
穴はまだ続く
ひたすら歩き続けて
ようやく外に出る
そこは空だった
振り返れば
空に穴が空いていた


自由詩 海に穴が空いていた Copyright ぽえむ君 2007-02-20 10:51:12
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