ひだまり 〜桜のころには〜
Rin.



流れ落ちるだけの空虚な時の水を
この手でせき止めてはみたけれど
やはり指の間から
少しずつ滲み出してきて
乾いた瞳を潤した

あなたの陽だまり、に
包まれていたことを
こんなにも幸せに思う日が
来ることは知っていたはずなのに
いままで言いたくても、言えずにいた
「ありがとう」を
涙が「ごめん」に
変えてしまった

死ぬのは恐ろしいけれど
僕といたらその瞬間も笑わせてあげる
そんなあなたの約束を思い出しては
またどうしても、ぬくもりを感じてしまうから
いまはボロボロと泣けるほど
悲しくはないのだけれど
桜のころには
舞う花びらで身を切るでしょう
たくさんの白い花びらが
すべて薄紅に染まるほどに

あなたの陽だまり、に甘えていた私
いまようやくそこを訪れる生命のあかしに
耳を済ませています



自由詩 ひだまり 〜桜のころには〜 Copyright Rin. 2007-02-19 15:07:28
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