○ねという言葉について
ふるる

私は「生命維持活動を停止せよ」という意味の例の「○ね」という言葉が好きではないので、以後は「停止せよ」で表したいと思います。

●どういう気持ちで言っているのか

私が初めて生でこの言葉を聞いたのは、息子が友達の集団とすれ違った時にその中の一人が息子に向かって「よっ!停止せよ!」と言ったときでした。
「よっ!」という親しみの挨拶の後に「停止せよ!」って・・・・!お互い自転車だったので追いかけて行って説教、はできませんでしたが、ムカーとしたので「停止せよって言うなーーーー!」とどなっておきました。
私が思うに、10歳前後の男の子というのは、仲間に自分のすごさを誇示したいと思うあまり、言われた人の気持なんて考えもせずに「停止せよ!」なんて言う。そのことを言うのはタブーで、タブーを犯せちゃう自分てすごくない?どう?これ言えたら仲間だよね?ね?ということなんだと思います。集団によるいじめもそういうところがありますね。
いじめは良くないことは当然ながら分かっていて、その良くないことをしちゃえる自分、というのを仲間に見せて、仲間に認めてもらうわけだからやっちゃう。だからもっと良くないことをした方がもっとすごい、となって、どんどんエスカレートしていくんだと思います。また、誰かをいじめるという行為は、すかっとしてまるで自分が万能になったような気分を味わえてやめられなくなる、もっと強い刺激を求めるようになる、という麻薬性も含んでいます。
私も小さい頃色々あってストレスフルだった頃は、飼っている犬をいじめていたのですが、あのすかっとさはやめられない、恐ろしいなー、エスカレートする前に、本という逃げ道を知ってよかったなー、と思います。
子どもは何しろお金がないから、ストレス解消を買い物や娯楽に頼ることができない。
そういうストレス解消の仕方、そういう仲間の中にしか自分の安住の場所がないから、酷い事件になってしまう場合もあり得る。だからよっぽど気をつけないといけない。子ども同士の問題とは言え、エスカレートしていったら止められない。
被害者は逃げるしかない。逃げても一向に差し支えない。と思います。
さて、学校の先生に最近の子の言葉使いの話をしてみたところ、先生曰く、
「そういうことを言うのも想像力が働かない今の年齢くらいで、だんだん命の重みなどが分かってくると言わなくなる子もいますよ」
言わなくなる子もいるということは、言い続ける子もいるってことですよね。
人を嫌な気持ちにさせて喜ぶタイプなんかは言い続けるんでしょうね。嫌な感じ。そんなの通り魔と変わらないや。

●言葉の重みが違う

私が子供の頃は、「停止せよ!」という言葉はあまり聞かれなかった。ただ聞いてなかっただけかな?
今は、ゲームなんかやっているとよく「停止せよ!」と言いますね。
私は嫌なのでその都度「言わないで」と言っていますが、周りの子も言っているんだろうから、その言葉のすごみが昔とは違うんだろうな、と思います。
言う方も言われる方もわりとライトに受け止めているのかもしれません。
息子も激怒した私にフォローを入れるように「あれは冗談だよ」と言ってたし。激怒するほうがバカなのか。
世代の違いなのかな。
もっと昔は病気ですぐに親や兄弟が死んでしまう時代、亡くなった時、自分はそうでもなくても周りの人がどんなに悲しむか知っていて、だから、実感としてうっかりそんなこと言えない感もあっただろうし。
そうは言っても昔も今も子供はトンボの羽を千切ったり残酷ですけどね。
是非つもりでも実感でも何でもいいから「命の重みが分かった、人を大切に思える」人になって欲しいです。でもゲームなんかではすぐに人があんなことになっているし、難しいですね。
私は姉の赤ん坊を抱っこして初めて「うわーー!こんなに赤ん坊の頃はふにゃふにゃで何もできないのに、人類は今の代まで続いてきたっていうの?ひゃあー!人類すごいー!」というのを実感しましたが、そういうチャンスも少ないですしね。どうすればいいんでしょうか。

●言われたらどうすればいいのか

言われた方は相手が子どもならまあそういう時期もあるんだと思って流すしかないと思います。
相手が常識ありそうな大人だった場合、わざと言ってるわけで、言う側にも色々言い分はあるかもしれないけど、言われた方は深手を負わされるわけで、やっぱりしばらくは休養が必要だと思います。
誰かに話してすっきりするとか、忘れるために何かするとかも。
でも言う側に色々言い分があるのなら、変なこと言わないで最初から自分の気持ちをきちんと言ったらいいのに。
言わなきゃ分からないもの。




散文(批評随筆小説等) ○ねという言葉について Copyright ふるる 2007-02-19 13:58:01
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