ひび
服部 剛

みえないじぶんをこえてゆく 
ぬげないじぶんをぬいでゆく 
このみをしばるなわをとき 

なみだのおちたてのひら 
にぎり 
しめ 

(ふりかえれば 
(しかばねのごとき 
(むすうのぬけがら 

にくたいのろうごくにうずくまり 
みえないかべにくずおれて
はくだくのうみにおぼれゆく 
(あの、うつくしいこえだけが 
(みだらにも、やわらかいすがたで
(おれをよぶのだ  

(てさぐりのこうふくは、 
(いつもむなしくきえさった 



 「    

      くろかべに
      ぼんやりうかぶ
      いっぽんのきょぼく
      あたってもあたってもたおされて 
      かてないじゃくしゃ
      それでもまけずに
      すがりつく              

                        」 



ちからなきわがみ(いきたえだえに、
こどう、たかなり)ひとかたまりに、
みをかがめ、 
たちはだかるすがたなきかべにむかって
(ひとおもいに) 







    嗚呼・・・・・・・・・・! 








 「      


        穴      



                」 





              を・・・ 


( その向こうに広がる世界・・・ ) 

( てをつないでいる・・・ ) 

( あのひのふたり・・・ )
 


   みえないじぶんをこえてゆく 
   ぬげないじぶんをぬいでゆく 
   このみをしばるなわをとき    

   なみだのおちたてのひら 
   にぎり 
   しめ 

   かてないかべに 
   こえれぬかべに 
   くだけぬかべに 










自由詩 ひび Copyright 服部 剛 2007-02-19 11:35:52
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