珊瑚の夜
シリ・カゲル

彼女は言った、もし
親知らずを抜いてしまっても
今までと変わらず愛してくれる?
僕は答える、もちろん
それに必要とあれば
代わりにとびっきり頑丈な義歯を
プレゼントするよ、もし
その時に材料の原油が枯渇していたら
近くのビーチにサンゴを
埋めて
いちから作り出してあげる
彼女はふんっと
小気味よく鼻音をたてて
胸元を隠していた毛布を
鼻のところまで上げた

その頃
鴨川シーワールドに住む
バンドウイルカのオバンドー君は
昼間に輪くぐりを
失敗したことを思い出して
プールの水面を
尾びれで
ぴしゃりと叩いた。


自由詩 珊瑚の夜 Copyright シリ・カゲル 2007-02-19 00:45:30
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