神様の不注意
1486 106

とある外国の田舎町では
生活の為の盗みが横行している
今日は40くらいの男性が
市場からパンと水を盗んだ

警察の制止を振り切って逃げる
男に一発の銃弾が放たれた
弾丸は男の太ももをかすめ
通りすがりの少年に命中した

少年は学校の優等生で
将来は弁護士になると言っていた
買い物帰りの親孝行な少年は
母親の目の前で冷たくなった

ここは平和な住宅街
それでも犯罪は後を絶たない
社長の娘が暇潰しに
コンビニでペンとガムを盗んだ

何不自由ない生活の中で
満たされぬ迷える子羊が嘆く
社長の息子が理由も無く
学校で同級生を刺した

神様の不注意で世の中は乱れていく
神様の不注意で罪の無い人が苦しんでいる
神様の不注意で若者の炎が消えていく
神様の不注意で悲しみの雨が降る

話は戻って外国の田舎町
警官の罪は過失致死で服役
その国には死刑制度が無いから
何年か経てば釈放される

少年の家は火が消えたようで
夕飯時の笑い声はもう聞こえない
母親はあれから毎日教会に訪れ
天国の息子に祈りを捧げる

悪いのは強盗?
悪いのは警察?
悪いのは社会?
いずれにせよ少年の命は戻らない

そしてここは平和な住宅街
悲しいニュースは垂れ流し
明日になれば犯人の顔も
少年の名前も忘れてしまう


自由詩 神様の不注意 Copyright 1486 106 2007-02-18 12:39:15
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