神様の不注意
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とある外国の田舎町では
生活の為の盗みが横行している
今日は40くらいの男性が
市場からパンと水を盗んだ
警察の制止を振り切って逃げる
男に一発の銃弾が放たれた
弾丸は男の太ももをかすめ
通りすがりの少年に命中した
少年は学校の優等生で
将来は弁護士になると言っていた
買い物帰りの親孝行な少年は
母親の目の前で冷たくなった
ここは平和な住宅街
それでも犯罪は後を絶たない
社長の娘が暇潰しに
コンビニでペンとガムを盗んだ
何不自由ない生活の中で
満たされぬ迷える子羊が嘆く
社長の息子が理由も無く
学校で同級生を刺した
神様の不注意で世の中は乱れていく
神様の不注意で罪の無い人が苦しんでいる
神様の不注意で若者の炎が消えていく
神様の不注意で悲しみの雨が降る
話は戻って外国の田舎町
警官の罪は過失致死で服役
その国には死刑制度が無いから
何年か経てば釈放される
少年の家は火が消えたようで
夕飯時の笑い声はもう聞こえない
母親はあれから毎日教会に訪れ
天国の息子に祈りを捧げる
悪いのは強盗?
悪いのは警察?
悪いのは社会?
いずれにせよ少年の命は戻らない
そしてここは平和な住宅街
悲しいニュースは垂れ流し
明日になれば犯人の顔も
少年の名前も忘れてしまう