はらだまさる




             はばたき
               怯え
                鼻先で
                子供たちの
               音楽と
              白い息が
             おどってる


        灰色の 
       冬の  
      空に 
      鮮やかな
       螺旋を描いた
        小さな、
         小さな死の


              喉もとに
                甘噛みする
                 拡散した 
                 素粒子の
                 虎が


                よだれを垂らしながら
               ぶつかりあって
              るうう
             るううう
            と
          吠えている
            

     よるべない
    精霊たちは
   サイコロを振って
  嬉々としてる


   薄汚れた檜の
    まな板のうえで
      はらわたを抜かれた
       青い魚の


          背びれで
           切った指先から
           陽が射した
           古い書物の
          表紙に 
         野性が
       したたり落ちて




    少女、



       走る




           気持ち良さそうに
            気持ち良さそうに
           揺れながら
          揺れながら

        

        無力と
        まなざしと   
         パウンドケーキと       
          ジャスミン茶と
           毛布と

       

           パッヘルベルのカノンと     
           アルシュ紙と
          水彩絵の具と
         絵筆と


   

    凍えた唇に
   キスを








自由詩Copyright はらだまさる 2007-02-17 20:38:23
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