あい
草野春心


  君が笑った
  橙色の気持ちに満たされた僕
  君が笑いやんだ
  戸の閉まる音に怯えた僕



  君が泣いた
  駆けつけて抱きしめた僕
  君が泣きやんだ
  わけもしらず泣きだした僕



  君を知りたくなればなるほど
  僕を忘れてしまうみたいだ



  そしていま僕は一人
  町を歩いている
  霧雨がふっている
  つめたい音と あたたかい匂い
  〈あい〉。
  胸の中につぶやいてみた
  〈あい〉、〈あい〉、
  〈あい〉……
  くりかえしたら止まらなかった



自由詩 あい Copyright 草野春心 2007-02-16 09:19:47
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