子犬
アンテ

通勤電車でまいにち通りすぎる
田んぼの景色
あぜ道のとちゅうにちょこんとすわって
毎日欠かさずに
電車を見おくる親子の犬がいて
気になって気になって
もよりの駅で降りてみた
当てずっぽうに歩いて
くたくたになって
なんとか犬の親子にたどり着くと
土嚢や農作業の道具が積みかさなって
犬に見えていただけだった
ちょうどやってきた電車を見ると
いつも座る車両の窓
こっちを見ている人がいた
腹いせに
あたりの物をかき集めて
二匹目の子犬を作っていると
見おぼえのある折りたたみ傘が
道ばたに転がっていた
わたしの名前が書いてあった





自由詩 子犬 Copyright アンテ 2004-04-14 00:50:50
notebook Home