「ケサラン パサラン」
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小学生の頃
春の小風の中にふわふわと漂う
ケサラン パサランを見つけた
うさぎのしっぽのような丸い格好をして
まっくろくろすけが
まっしろしろすけに塗り替えたのかと思った
ぼくは
逃げられないように背後からそっと忍び寄り
両手でパシッと掴まえた

たちまちに幸せを手に入れた興奮に包まれ
両手を突き出したまま
とりあえず
グラウンドを走り回って願い事を考えてみた
そして
2周目にしてやっと思いつき
手の中を慎重に覗き込むと
ケサラン パサランはいなくなっていて
代わりに手のひらが真っ白に汚れていた

放課後
自己嫌悪に陥りながら
しょぼくれて家に帰ると
庭に植えたチューリップの球根から
小さな芽が顔を出していた
期待に胸が高鳴り
ぼくは空を見上げた
蒲公英の綿毛が気持ちよさそうに飛んでいた
どこからか
微かに香った
おしろいの甘い匂い

翌日
我が家の庭は
チューリップ畑になっていた
春うらら
朝の陽気が暖かかった


自由詩 「ケサラン パサラン」 Copyright 404 not found 2007-02-11 19:11:37
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