暮らしてゆくことは
砦希(ユキ)
暮らしてゆくことの総体について
暮らしてゆくことは
時計が一日を削ってゆくのと同じように
すり減らして
終わってゆくことなのかもしれない
けれど時計はひとまわりすると
削られたものは過去という
かたちのないものに変わり
一瞬だけ
満ちる
暮らしてゆくことは
満月の夜の海辺のように
果てしなく満ちてゆくことなのかもしれない
僕がつくった砂のお城は
壊されるための
ものだったのかもしれない
暮らしてゆくことは
生きてゆくためで
それはつまり
死んでゆくためで
それでも僕は
止まることのない時計と
欠けることのない月を見上げながら
いつまでも
砂のお城をつくることしかできない
ライフ