暮らしてゆくことは
砦希(ユキ)


 
暮らしてゆくことの総体について


暮らしてゆくことは
時計が一日を削ってゆくのと同じように
すり減らして
終わってゆくことなのかもしれない

けれど時計はひとまわりすると
削られたものは過去という
かたちのないものに変わり
一瞬だけ
満ちる

暮らしてゆくことは
満月の夜の海辺のように
果てしなく満ちてゆくことなのかもしれない

僕がつくった砂のお城は
壊されるための
ものだったのかもしれない

暮らしてゆくことは
生きてゆくためで
それはつまり
死んでゆくためで


それでも僕は
止まることのない時計と
欠けることのない月を見上げながら
いつまでも
砂のお城をつくることしかできない


ライフ



自由詩 暮らしてゆくことは Copyright 砦希(ユキ) 2007-02-07 03:12:48
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