「 つめたいから。 」
PULL.
陰嚢を口に含むのである。
妻の舌は冷たく巧みであり、
裏筋から亀頭の辺りを、
その舌が這うと、
身震いするほどの快楽である。
わたしは堪らず精を出す。
妻は口を開け、
それを受け止める。
「あたたかい。」
そう言って、
妻は幸せな顔をする。
すべてを飲み干した唇に、
わたしは構わず口づけをする。
皮膚が凍り付き剥がれるのも構わず、
わたしはその唇に口づけをする。
妻は涙を流すので、
わたしはそれをすべて飲み干す。
あたたかいわたしの舌の上で、
妻の涙は熔けてゆく。
わたしたちは抱き合って、
抱き合って夜を越える。
わたしは妻とまぐわったことがない。
妻とは口淫だけである。
妻の口は冷たく、
あまりにも冷たくて、
わたしはいつも堪らず精を出す。
わたしたちはそうやって、
愛し合っている。
了。