片栗粉
はじめ
片栗粉が積もっている
神様が空から降らしたのだろう
この世界ごと唐揚げにするつもりか
良かったこの世界は丸くて
平らだと歪なものができてしまうから
きっとイエスの大好物なのだろう
これから地獄へ落としてカリッカリに揚げるつもりだ
世界中の人々が片栗粉に脅えている
こんなこと前代未聞だからだ
いくら聖書や経典やコーランやタルムードを舐め尽くしても
こんなこと何一つ載ってやいないぜ
今戦争中の国々や対立中の宗派は争いを止めた
そして自分達の罪を悔やんだ 今さら遅いぜ
でも君の作る唐揚げの方が旨いぜ
この前の僕の誕生日パーティーの為に作ってくれた
君のは冷えても旨い
そんなこと今言っている場合ではないか
しかし無宗教派が多い日本では
なんてこと無いと思ってニュースでも
「片栗粉が空から降ってきました」と報じただけで
人々はせっせと『片栗粉掻き』をしていた
しかたないので除雪機が全国各地で出動し
処理に困り良い案が浮かばないので 海に流した
もったいないと思った人は外でみんなで揚げ物をして食べた
その為 サラダ油が爆発的に売れた
日清と味の素だけが大儲けし株が急上昇した
でもんそんなことをしているのは日本と
宗教を持たない国ととっても貧しい発展途上国ぐらいだったので
依然「世界の終わり」と世界各国のメディアで報じられ
どの宗教が最も正しいのか激しく議論され
停戦中だった国々や一つの宗教の派閥が
片栗粉が降りしきるのが激しくなるにつれて再び争いを始めた
それに輪をかけて他宗教との議論から戦争が始まり
多くの人間達が片栗粉の海に血を流し沈んでいった
気象衛星や宇宙ステーションからは地球は白く濁って見えた
雲と見分けがつかないぐらいだった
もしガガーリンが生きていれば「地球は白くなった」
と泣きながら喚くだろう
この異常気象(雲が片栗粉を発生させているのだ)は
確実に世界の終わりを明確にしているだろう
そして僕達は罪を洗いざらいに告白して
自分だけは地獄に堕ちたくないと
願うだろう(宗教が違えば思うことも人それぞれだが 大抵の人は)
世界は混沌に満ちている
この非日常の世界の中で
僕は毎日揚げ物を食べている