あのね、本当はね
なつ

ひとりきりの道がこわいの。

夜、さみしいと泣くたましいの声
漏れ聞こえないようにはりめぐらせた
はんとうめいの金網
あまえたいさみしさが引っかかって
ときどき血を流す((誰にも見えない。))

あのね、本当はね

会いたいときに飛んでいけない
針金みたいに、のろわれた身体が(現実。)
だいきらいでたまらないの。

夜、携帯電話がぎんいろ
着信もないのにひとりでにふるえて
いつまでも視界にちかちかする
呼びさまされたくて待っているの?
かなしいくらい似ているよね、
((あの日の記憶、と笑ってごまかす))

さいきんのはなし。
「すこしだけじゆうに書く
それはこわれることと似ている」
だって誰かに心配してほしいんだ
ずるいとは思うけど、

ひとりきりの夜が耐えられないの。
と、つぶやいてみたりする

だいじょうぶ もう遠くに行ってしまってよ
わたしの器官が夜ごと
苦しむくらいのこと わざとだから。

((心配してほしいなんてうそだよ。わたしは元気だよ。))

あのね、本当はね



自由詩 あのね、本当はね Copyright なつ 2007-01-27 23:36:00
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