ビーム・ビーム・ビーム
田島オスカー
ホカロンなんてダサいわよ、
あたしと会うときはそんなもの持たないで。
カーテンに透ける夕陽
そのむこうに何があるかを彼女は知っていた
バカじゃないの、
寒いならひとりで居なきゃいいのに。
彼女は全てをありのままに
さらけ出すことなど愚考だと知っていた
ねえ、どうしてそんなにすぐ目を伏せるの、
まるであたしが悲しいだけみたいじゃないの。
痛々しさばかりがにじむ毛先に
絡む指が美しいことだけが彼女の良いところだ
もう会うこともないなんて、
あなた言うけれど、
僕はきっとこの先いつだって
彼女の常に揺らぐ視線を思い出す
あたしね、大好きだったのよ、
あなたのことじゃないわ、ここのね、
彼女の揺らぐ視線の先は
僕の手の内に入ろうとしなかったけれど
このソファから、カーテン越しに見る、
真っ赤な夕陽がね、あたし大好きだったのよ、
今日彼女はまっすぐに
昔煙草で焦がしたカーテンの隅を見て
もう、見られないのね、
今日も綺麗に真っ赤なのに、もう。
直線のビームがその瞳から放たれあと三秒で
西日に染まるカーテンが焼き切れる