唯一、の

裏通りの月は
ゆらゆらと揺れて
消える事を恐れない

表通りの月は
隠れればライトを浴びせられるから考える事を辞めた


繁華街の円卓に出された七面鳥に名前をつけていた彼女は 食べる前にお辞儀を

腹が減った中年は
苦手な目を取り除く



月は幾万と一個浮かんで
共鳴している


裏通りはいつしか
表通りに変わって

迷子になった時だけ
裏通りに行けるようになった

ペアを持たない月は
私達には届かない月


自由詩 唯一、の Copyright  2007-01-24 01:42:25
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