G
ミゼット

クラクションを鳴らされたんで
あははと笑って通り過ぎた
通り過ぎた後で怖くなって
部屋に帰ってから外に出られない

友達に話をしようかと思うけれど
「相手のことを考えた結果、カレンダーが日曜日を指していても仕事だったりするわけだ」
頭の中で暮らしている小さな女がそういうので
連絡はやめた

悲しいんだけど、怖いんだけど、とりあえず三時だし、お茶でも飲もうと思っている

紅茶の味は歯が染まるし、コーヒーも午後に飲むもんじゃないから
昨日沸かした麦茶をレンジで温めなおしている

真ん中に湯飲みを置いて、扉を閉める
レンジ→つまみを回してメニュー?にする→スタート
ジージー音を立てて湯のみが回転しているのをみる

ジー だいじょうぶだよ
ジー こわくないよ 
ジージー なんとかなるよ どうでもいいよ
あしたは仕事だよ チーン!

「昔っから嫌いなんだよね。日曜日の午後ってさあ。ほら、なんか虚しいじゃん?」
「さっきのクソジジイ、事故らないかな」
「あんなの無かったことにしようよ」
「くだらないくだらないくだらないくだらないくだらない」
ずっと前から一緒で、誰でもなくて、
小さな女としゃべり続ける

怒るのは疲れるから嫌だ
怒らないと疲れるから嫌だ

どんどん増えた小さな女と
しゃべってしゃべって気がついたら四時だ

飲まずに冷えたお茶を温めなおす
多分、まずいと思う


自由詩 G Copyright ミゼット 2007-01-21 17:16:30縦
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