コンシェルジュリーに棲む女
なかがわひろか

コンシェルジュリーに棲む女
人は醜女の心を持つと言う
不能の旦那の種で生まれた
愛しき結晶を抱いている

コンシェルジュリーに棲む女
愛した人が手を差し伸べる
掴めぬのか
掴まぬのか
彼女の心は誰も知らぬ

栄光と
装飾と
嫉妬にまみれた
悪を一人で背負わされた、女

滑り落ちる刃に映る
細く長く白く美しい、首

目を閉じる
悲鳴
歓喜
耳を塞ぐ
誹謗
嘲笑

コンシェルジュリーに棲む女
真実を知らぬ者の戯言に
人々は今日も
耳を傾ける

(「コンシェルジュリーに棲む女」)


自由詩 コンシェルジュリーに棲む女 Copyright なかがわひろか 2007-01-21 00:36:29
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