シベリア
水在らあらあ





ひまわりが枯れて
バラが枯れて
チューリップがこぼれて
シベリアだけがまだ 
咲き誇っている

切られた花の優しさしか
あげられません
あげたくても
あげられません

玄関先
あなたの靴がない
シベリアだけが咲き誇る
玄関先

俺はこぼれる
金魚鉢の中に
俺はこぼれ
失われる

凍死するところだったのよ
そんなに飲んで 喧嘩して
排水溝に顔つけて寝てたって
シベリアだけが咲き誇っても

高速道路で車のドアを開けてみたよ
幼馴染に押さえつけられて
シベリアの花言葉は純潔なんだと
あなたは 純潔 なんだと

あんまりだ 知らなかった
俺が生まれる前のこと
十二歳のあなたのこと
生活に翻弄された

玄関先
金魚鉢に失われて
あなたの帰りを
いつも待ちたい

切られた花の優しさしか
あげられません
あげられないから
また花を買う




おかえりなさい






自由詩 シベリア Copyright 水在らあらあ 2007-01-17 11:31:11
notebook Home