蝶
もも うさぎ
あたしのスカートの
端っこを切ったのは あなたでしょう?
羽をばたばたさせて 空に浮かぶ
髪が伸びたので あたしは飛べるようになった
まっさらな夜を
あなたの匂いをたよりに飛んで
電光掲示板の上で一休みした
部屋の中ではあなたが
飼っている 蝶のことを想っている
あたしがすぐそばに来ていることも
気づかずにいるのだろう
カーテンレールの真ん中に
見えない紐をくくりつけては
その紐をもっと 短くしたい衝動を
タンブラーに 混ぜて溶かすのが
ここからは 見える
どこにも行かせない と
紐は 月に反射して きりきりと光る
それでも
それは ひどく優しい
本当は
紐を
絞めてしまいたい?
狼狽して頼りなげで
気が狂いそうな
夜
それでも日は昇るのだから
夢はもうおしまいにして
体はもう 混ざり合って タンブラーの中に消えた
それでね
だから
あたしの
スカートの端っこを
切ったのはあなたでしょう
一晩だけ 手繰り寄せて
あなたが ここを 切ったのでしょう?
〜蝶〜
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