もも うさぎ

あたしのスカートの
端っこを切ったのは あなたでしょう?

羽をばたばたさせて 空に浮かぶ
髪が伸びたので あたしは飛べるようになった

まっさらな夜を
あなたの匂いをたよりに飛んで

電光掲示板の上で一休みした

部屋の中ではあなたが
飼っている 蝶のことを想っている

あたしがすぐそばに来ていることも
気づかずにいるのだろう

カーテンレールの真ん中に 
見えない紐をくくりつけては
その紐をもっと 短くしたい衝動を
タンブラーに 混ぜて溶かすのが
ここからは 見える

どこにも行かせない と
紐は 月に反射して きりきりと光る
それでも
それは ひどく優しい


本当は

紐を
絞めてしまいたい?

狼狽して頼りなげで
気が狂いそうな




それでも日は昇るのだから
夢はもうおしまいにして

体はもう 混ざり合って タンブラーの中に消えた

それでね


だから

あたしの

スカートの端っこを
切ったのはあなたでしょう

一晩だけ 手繰り寄せて





あなたが ここを 切ったのでしょう?










〜蝶〜


自由詩Copyright もも うさぎ 2007-01-17 07:18:47
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
契約