複数の愛人たちとのボウリングのやりとり
カンチェルスキス



 複数の愛人たちとのボウリングのやりとりを
 やめようとおれは思ってる
 言っておくが
 おれはプロボーラーではない
 はみ出し刑事でもない
 紅茶の入れ方はうまいことと
 切ない情報開示ちゃんであること
 それだけのことだ





 いやあ、何だ
 ボウリングってのもいい加減で
 投げると転がる
 ってんで浮世離れでさあ
 ちくしょう
 六本木を切り倒して
「倒れるぞー」
 って言いたい気分だ
 にゃろめ




 
 ダンスと言えば狼だけど
 その中には羊がいるから
 ダンスは狼の中の羊ということになる
 ボウリングってのもいい加減で
 投げると転がる
 ってんで正直上り棒での瞬間エクスタシーでさあ
 女子はどうなの?
 って今頃聞くのはおかしいと思ったさ
 でも
 セブンイレブンのねーちゃん答えるんだもん
 ミートゥー
 サランラップで誤魔化したってさ





 おれははっきり言ってペテン師財団の平謝りだろ
 ゴールデンヨガ激情でおれは天上人になりそうになった
 先割れスプーンに未練があったから
 何とか踏みとどまって部屋の本棚の間にトトゴールの外れ券とともに
 ホルマリン漬けだった
 ボウリングってのも足軽遊びみたいなもので
 電線の雀さんたちを蹴散らして
 電線に沿ってお進みください
 マジで近江牛の鼻フックだったらなあ
 仮に人間の鼻の穴が三つになった場合
 投げられても文句は言えないし
 泥をかぶった不快な気分にもならない
 そのときがきたらみんなで言おう
 お見事!ありがとうございましたって
 




 複数の愛人たちとのボウリングのやりとりは
 やっぱり続けようかしらね
 何と言ってもジャパンはスウィングし続けるから
 あら やだわ つわり
 つわり三味線なんて言わなくてもいいのよ 
 あーた あーた あーた
 何が言いたいんだろうね
 おれは本マグロにロープで縛りつけられて
 太平洋の海中においてイルカに乗った青年いたちごっこをするの巻したいね
 いたちごっこは今でもあってるけど
 まあ、それにイルカじゃないんだけどさ
 本マグロ
 止まると死ぬ生き物らしいけど
 止まらなきゃおれは死んじゃうんだよなー

 



 さんさんと光差し込むベランダに出て
 今日も光化学スモッグによって
 生命の確認をする
 赤と白の工場の煙突の数は雨後のタケノコみたいに増えてないし
 だったらいいんじゃないのと
 おれは足元に転がった黒の16号ボウリング球に 
 指を入れて
 複数の愛人を思い浮かべるのだ
 向こうもそうしてくれてると感じることができるから
 わたしは男前にスローする真似をする
 ピタッと止まったわたしの足ども二本
 肘のあたりにわたしに対する彼女たちの愛情の強度を感じるのだ

 



 汚染の川が今日もええ感じの色になってら
 言うならば千利休Tシャツを着ながら
 タライでがぶ飲み緑茶したいという感じだ
 あー こんなとき屁が出たら
 人生の武器になるのになあ








自由詩 複数の愛人たちとのボウリングのやりとり Copyright カンチェルスキス 2004-04-07 16:11:00
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