無限吐息
なかがわひろか

久しぶりに目覚めた無限は
世界中の空気を吸い込むように
息をした

どこまでもどこまでも
果て無き肺へたどり着くまで
空気たちは無限の中を彷徨った

無限はときおり
ほんのときどき
息を吸う

そしてそれは決して吐かれない
分かっているんだ
自分しか
始末できるやつが
いないってことを

久しぶりに目覚めた無限は
久しく会っていなかった友人に
連絡した

友人はとても懐かしそうに
もう何十年にもなるか

そう言った

お前はきっと
昔のままなんだろうな

と羨ましがった

無限の楽しみと言えば
何十年ぶりかに会う友に

変わらないね

と言われること

無限は変わらない

寝ても
覚めても

何も変わらない

無限は

大きく息を吸いながら

生きている

(「無限吐息」)


自由詩 無限吐息 Copyright なかがわひろか 2007-01-17 02:15:25
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