純粋な文章ほど美味しくない
ぽえむ君

水素原子と酸素原子だけが
一定の割合で結びついてできた水は
確かに純粋な水であろう
綺麗な水なのかもしれない

では美味しいのか
答えは否であろう
純粋な水ほど美味しくない

ならば
どんな水が美味しいのだろう
それは天然水

海から昇り
天より山に降りたその水は
一度冷え固まり
一滴一滴の雫となって
山を下る

森の土を風と共にくぐり抜け
その過程で水のまろやかさを
天然の味をブレンドしてゆき
やがて集まり小川となる

一口飲めば
一口に水という言葉ではくくれることのない
何かがわかる

正しい文法と意味だけが
組み合わされてできた文章は
確かに純粋な文章であろう
正確な文章なのかもしれない

では美味しいのか
答えは否であろう
純粋な文章ほど美味しくない

ならば
どんな文章が美味しいのだろう
それは天然の文章

目から入り
脳より神経に降りたその文章は
一度受け留まり
一つ一つの心となって
神経を下る

全身の細胞の中を血液と共に流れ抜け
その過程の中で文章のまろやかさを
天賦の感性をブレンドしてゆき
やがて集まり思想となる

一言発すれば
一言で文章という言葉では言い切れることのない
何かがそこにある


自由詩 純粋な文章ほど美味しくない Copyright ぽえむ君 2007-01-14 21:22:04
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