夜鷹
士狼(銀)

よだか、かあいそうよう
かわうそうよう


四歳のわたしは協会で泣いた
よだかを想って泣いた
かあさまが牧師様に頂いた絵本を
わたしは涙でくしゃくしゃにしてしまった

十八歳は思い出して教室で泣いた
最後尾でラストを知りながら
ノートにぱたぱたと
小さな染みが幾つかできてそれがいつか
わたしの周りに海を招いた
腰の辺りで揺らぐ夜の水面に
青白いよだかの星が、光を、落とした
わたしもいつか
あんな無限に暗い宇宙で
夜のままの世界で
よだかの隣に、一雫の涙のように

はたと顔を上げて本を閉じると
黒板の前ではリミットえぬから無限大が
と始めたところだった



よだか、と口の中でそっと云って
わたしはΣを大きく描いた


自由詩 夜鷹 Copyright 士狼(銀) 2007-01-13 12:34:21
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