気づかれていない場所
hiro

太陽が昇りだすころ
私は電車に乗っていた。
そこにはいろいろな人がいろいろな目的で電車に乗っている

出勤途中の疲れきったサラリーマン
大慌てで、危篤の母に会いにいく人
昨夜彼氏に振られたOL
浮気がばれて主人に怒られた主婦
吊り下げ広告をじーっと見ている不吉な人
家族で遊園地へ向かう人

周りを見てみると時間軸と感情軸上を
色々な目的の曲線が波打っているように見えた。

電車に揺られぼーっとしてると
ある外人さんカップルに目が留まった。

彼らは京都から奈良へ向かっている様子で
車中でキスをしたり、
ハグをしたり、
景色について語り合ったりしていた。

ここまでは普通のカップルでもしている。
だが彼らは一駅一駅降りて、
閉まりそうになったら慌てて車内に戻るという動作を繰り返す。
何をしているのかと不思議に思った。
よくよく見てみると、
彼らは京都から奈良へ向かう途中の一駅一駅の特徴を肌で感じているみたいだ。
その駅の特徴をメモに書き
また次の駅で特徴を拾っては書き笑顔交じりで語り合ってる
まるで日本の特徴の隅々を楽しんでるようだ。

そうこうしているうちに終駅につき
何気に暮らしている町をじっくり眺めてみると
我々でさえ知らない場所が沢山あることに気づかされるかもしれない。


自由詩 気づかれていない場所 Copyright hiro 2007-01-13 03:25:18
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