暗い夜
A.おじや

月があまり高くに上ってしまって
僕らを照らしてくれないので

24時間営業のコンビニやら
ひっきりなしに通る自動車のヘッドライトやら
消し忘れられた風情の街路灯やら
そういうもので夜を過ごしている

闇に耐えられない僕らは
もぞもぞと寝床から起きだしては
夜のもとに向かうのだけど
話すのは足元の影とばかり

月を通じて想いを伝え合った
遠い昔の恋人たちの記憶をたどって
ケータイ電話をかけてみるけれど
電話口に出たのも足元の影

(むなしく時の流れていく音)

24時間営業のコンビニを
自動車のヘッドライトが照らしている
消し忘れた風情の街路灯の下で
僕と影は二人寂しく抱き合っている

月があまりに遠く上ってしまったので
夜は長く伸びながら
冷たく濡れて
沈みこむ

僕と影は二人
寂しく抱き合っている


自由詩 暗い夜 Copyright A.おじや 2007-01-12 22:13:25
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