悪い事ぁ言わねぇ
プル式

俺ぁね、鼻毛をね、抜いたんですよ
そうしたらばさ
なんともまぁ可愛らしくない
小人がぶら下がっていてね
それはもう凄い剣幕で怒るんですよ
お前は何だぁ
何様のつもりだぁ
わしらの住処がぁって
だからね、言ってやったんですよ
お前らこそなんだ、家賃も払わねぇで
お前らなんか住むところは暖かいじゃないか
俺なんか駅の隅のシャッターの横だぞって
誰も相手なんてしてくれ無ぇんだぞって
そうしたらね
しぶしぶ引っ込んで行きましたよ
いや、鼻の中ですよ
でね、
いや、あいつらの所為なのかなぁ
くしゃみが止まんなくなって
もう、次から次から出てくるんでさ
そうしたらよぉ
いや、信じられっかい
こんな可愛い女の子がよ
良かったらどうぞってよ
こんな俺にだよ
良かったらどうぞってよ
いや、もっかい言うけどよ
良かったらどうぞってよ
言うわけよ、笑いながら言うわけよ
笑いながらしかも何か差し出すわけよ
ふっと見るとさ、はな紙なわけだよ
分かるかい、鼻紙、テッシュゥだよ
しかも、お金、大丈夫ですかぁなんてさぁ
さすがにそりゃ断ったんだけどよぉ
そう、そうだよ
笑いながらそんな優しい事をさ
俺なんかにするなんてさ、もうさ
人生もうじき終わるんじゃねぇかってくらい
感激しちゃった訳よ、訳よ訳よ
な、だからさ、よう、兄ちゃんもよ
悪ぃこたぁ言わねぇからよ、
どうしようもなく惨めな気分になった時にはさ
いっぺんでいい
鼻毛を抜いてみなって、悪ぃこた言わねぇって
ほら、さ、さ、どうしたぃ
根性ねぇなぁ
おい、何処に行くんだよぉ
おい待てってよぉ
おぅい。


自由詩 悪い事ぁ言わねぇ Copyright プル式 2007-01-11 22:41:25
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