λ
ねなぎ

ドライバーを炙って
ペットボトルの横っ腹に
突き刺す
こぼれない位置
そして
沈まぬ位置

僕はこの世界を
わかると思っていて
繰返し

そのまま
ボールペンで
広げて行く

そして
僕だけの世界に
勝手に入ってしまった

芯を取ったボールペンに
アルミ箔を
巻きつけて行く
真ん中に
爪楊枝を刺して
回すように
皿の様に

共振する
波長が
どこかに有る気がする

ボールペン
ペットボトルの
横っ腹に
突き刺して
ビニールテープで
漏れない様に
しっかりと固定する

雑音が乗っていて
君の周波数はどこにも
見つかりはしない

飲み口から
息を吸い込みつつ
漏れが無い様に
しっかりと固定
どうしようも
無いので
ボンドでも
使って
ガチガチに
身動きが取れないように
固めて行く

位相がずれているので
基準をどこにも定めない
真空の増幅で因果性が無くなり
相対性が崩されていく

千切って
小さくなった
その塊を
落ちないように
丸く鋏で切り抜いた網の中に
落ちない様に
震える指で
押し込む

ガラスのように曇った
僕には
見える事も無い細かさが

水を入れて
ゆっくりと
気道の確認

僕の波形を簡単に
壊して
復調する事も無い

息を吐き
ちょっと火を着けて
炎ごと吸い込む
そのまま
息を細く
長く
ゴボゴボと言う音を
立てて
水から昇る
青臭さを
取り込んで行く

僕が耳を閉じても
僕の周波数は
決して戻らない

息を止め
静かに回す

強い信号を
受信した場合
弱い信号は消えてしまうように

どこかが
痺れてきて
体がゆっくりと
反応して来たら
息が限界

同じ様な
周期の中で
変調されていった

そして
溜息より重く
何かが
体の中から
吐き出されて行く

あの頃の君を
拒絶した僕は
臆病だったのだろうか

ふらふらとする視界と
歪んで行く
止まらない
スローモーション
痙攣する
瞼を押さえて
もう一度
灰が
白く焼け落ちるまで

君の言葉は
もう
聞き取れないけど

そして
そのまま
煙草を加えて
繰返す様に
焼け付くような
喉越しを
ヤニで塗りたくる

君にまとわられた
感触だけが
残っている

中々
短くならない
その煙草の火を
ゆっくりと
見つめるように
根元まで
吸い尽くす

今は僕が
君を
思い出して

その中は
煙で一杯

許して下さいと

煙で
満たされるまで
体が沈んで
感覚が
一人歩きするまで

君に請う


未詩・独白 λ Copyright ねなぎ 2007-01-09 23:55:59
notebook Home 戻る