赤錆わずらい
A道化








ガードレールの
かすかなすり傷から
少しずつ、ずるり
赤錆と化してゆく
そこを避けて触れた人さし指の
さらさらの、その
真っ白に乗じて、何も
何もかもわからなくなってしまうことが
一瞬激しく望まれた
強く押し付けるようにくちづけられた
そのあとは
その望みが衣服のウールにてこすり消される
ひとつの冬のシーンにおいて
いいえ、いいえ、
風だろ?
赤錆のことを故意に振り返り、その
金属の香りに喘ぐのは
ねえ、風だろ?






2007.1.7.


自由詩 赤錆わずらい Copyright A道化 2007-01-07 22:44:28
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