みてみぬふり
キセル

昔からうちには神が住んでいる
会社で景色のいい席に移ってから
その存在を確認できるようになった

でも
いつも同じ事しか言わない
まるで意地悪された鸚哥みたいに
それよか

今までは
神威の如き鏑、諸行無常を劈き、悉く平らかに為す
と言っていたのが
ぬしはルウト四○九六に在り、己が広さを留めし時、極彩色連れ迎えに来む
という風に変わった

ギャル文字も最近の略語にも疎い私は
つまり神様は
コンポの音が大きい事に腹を立てて
コンポの所有者を殺してしまうような
そんな存在だと思っていた

それが特等席に座ると
そんな人に構うのは馬鹿馬鹿しいと
自分だけをどんどん高めるために
周りを無視しているのかもしれないと思った

こんなことばかりを考える私は
毎日窓の外ばかりを見ているが
本当は
映っている


自由詩 みてみぬふり Copyright キセル 2007-01-07 20:30:24
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