蒼い雪原のどこかに
佐羽美乃利
僕の心臓から生まれた鳥は
灰色の雲に追われ
君の掌から咲き出した花は
昏い出窓でうなだれている
悲しみと苛立ちに
覆われたこの星で
空々しい挨拶など
悪魔に食わせるしかないさと
誰かの低いしわがれ声
それでも僕は言おう
新しい年の始まりに
おそれず世界と向き合って
生命のパズルを楽しもうと
僕の鳥が緑の楽園で
輝く赤い果実を見つけ
君の花がひかりの方角に
顔を向けて歌い出す
そんな日が来るまで
とにかく
生き残ること
蒼い雪原のどこかに隠された
この世の秘密を解く
ちいさな金細工の鍵が
微かにきらめいて
君を待っている