冬の人
なかがわひろか

あれから
何度も同じような冬が過ぎ
薄桃色の春も
常緑の夏も
深紅の秋も

あなたはずっと
喪服の着物姿

世界と隔絶されんばかりの
体を一部とした
景色から飛び出した輪郭のように
ぽっかり浮き出たあなたは

きれい

肩までしかない黒い髪も
着物の歴史をあざ笑うかのようで
ただ

きれい

きっと

次の
春も
夏も
秋も

やがてくる冬も

あなたは

ずっと同じ姿で

きれい

(「冬の人」)


自由詩 冬の人 Copyright なかがわひろか 2007-01-07 15:56:20
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