無題/凪目
 
以下の方がこの文書を「良い」と認めました。
- atsuchan69 
- アラガイs 

いいのですが、終わりの四行がどちらからの声なのか迷ってしまう。霊は霊としても骨と皮のまま置き去りですか。虚しいですね。埋葬されないにしても立ち去るときには蒲公英の雛芥子の花が揺れて、何かもう一捻りほしい気もします。

- 竜門勇気 
最後の行に向かう収束の仕方がいい。
生きている他者、死んでいる他者。
あなた、僕、彼女の関係。
あなた、が彼女に向かわせる信頼と
僕、が彼女に負わせている幻想への別れが
彼女、が現実に残した呪いをそのまま残したまま
小さな輪として三者が続くだけの時間だけ存在するんだろう。
去った”僕”はきっと”あなた”の前から見えない場所に
移動するだけで呪いと契約を纏ったまま息をひそめている。
だから、達者でね、とだけ言葉を残せるのではないか。
しかし、そのような些末なプロットを追っていても
この詩を読んだことにはきっとならない。
重要なのは、”僕”の願いと祈りが非制御な彼女の呪いに向いていて
それはきっともう存在しない”彼女”が”僕”の中に作った存在に
迎合している危うさとともに、「そうしないではいられない喪失の大きさ」を表しているのだと思う。
”僕”や”あなた”以外の人から見れば”彼女”はいわば荒神のように
「呪い」「踏みにじり」「所有し」「憑りつく」存在なのかもしれないが
信仰している者にとっては「約束し」「処罰し」「守護し」「寄り添う」存在なのだといえる。
彼女がいた場所は、空白となり、さみしさと心もとなさが残っていて
”僕”や”あなた”はその空白とともに生活を続けていかざるをえない。
ゆえに、さようなら。ではなく「達者でね」なのだと解れば合点がいく。
神が隠れても、愛している人が去っても、世界は終わらない。
自分の命が続くだけなのだ。
それが特に最後の節で描かれている。

ぼくには詩力があまりないから
最後の締めを書くとしたら

なんだかわるかったね
長々話聞いてもらって
あのとき、みんなよくやったんだ
二度とここには来ないでいいよ

とかねちょっとしたことを書くと思う。
ちょっと嫌な感じで〆ると思う。
それをさわやかに落としてるのは筆力だ。作家力だ。
粘っこいことを書いてる割にいやな感じがない。
ちょっと休んでるみたいだけど、どんどん書いたらいいのにな-と思いました。
 
作者より:
アラガイさんも元気でね〜
---2024/07/23 14:02追記---
本当に嫌な感じだよ!
でもそうやって弄ばれるのってたのしいね
竜門さんも楽しかったらうれしいな
---2024/08/17 15:04追記---
竜門さんの解釈のことまだ考えてる。
こんなに丁寧に読み解いてもらえてびっくりしたし嬉しかった。
自分でもわかってないことまで教えてもらった感じがする。
うん。愛している人が去っても、世界は終わらないし、自分の命が続くだけ。「僕」はそう思ってるね。
「僕」は、もういない「彼女」のためになにができるかすごく考えるんだけど、いろいろ考えてしまう時点でうまくはいかないことが最初からわかっている。
「あなた」は「僕」と同じ「彼女」を信仰する人だから、「僕」は「あなた」の中に「彼女」を見るし、「あなた」もまた「僕」の中に「彼女」を見ようとする。そうやっていると「彼女」がいるように思えて、空白を埋められる気がしあえるから。
「彼女」を思うことは呪縛にもなるし、支えにもなる。それはコインの裏表のようなもので、どちらかだけを得たり、取り除けたりするようにはできていない。
「僕」と「あなた」の間の輪がゆらぐとき、「僕」は「彼女」をもう一度喪うように思われて動揺する。最初から失っているものをそれ以上失いようはないんだけど。
文章のこと褒めてくれてありがとう。遅筆だからあんまりいっぱいは書けないんだ。僕も竜門さんにもっと書いてほしい。本当はプレッシャーになりそうだからあんまり意識してほしくないんだけど、いつも新しいの読むの楽しみにしてる。

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