荒野/室町 礼
杉原詠二(黒髪)さんのコメント
わたしの読み方としては、厳しい生まれの過去の上に立つ男が、精神的・現実的孤独を耐えた強さによって、穏やかさを手にする途中、といった感じに読めました。坂村真民さんの詩集の扉に、マルヴィーダという女性作家の言葉で、「人は戦わないでは生きることはできない―戦わないでは、そして愛さないでは」とあります。生きることが詩である人は、本当の価値を認識できるようになるのではないでしょうか。そして、現実の中でそれを実現しようとする。
特色的である誠実な明度の高い比喩には、眼を開かされるものがあります。
---2025/08/23 10:00追記---
わたしは、大学で理系の学問を学んだため、数学や論理学の証明のようにして、詩を書きたいと思っております。いちど証明的価値観にとりつかれると、逃れられないのですよ。それが狂気のような直線性になっていると思います。時には羽目を外したいですけどね。室町さんは、わたしとはかなり異質なところがあるので、そこに学んで、生成駆動力を得られるような気がするので、熱心に読んでいるわけですよ。間違ったら、訂正すればいいだけの話ですよ。誰かを直接排除攻撃している人は(今は)いないのだし。