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午後の熱に散乱する
私の欠片を
拾い集めているひとがいる
ポケットのなかの綿くずのような
灰色の球が
ふよふよと窓から入ってくる
これが夏だったろうか
こんなのが夏だったのだろう ....
女子高でてから十ン年間、ずーっと女の花園みたいなところで働いてきた。だから女ばかりの現場には慣れている。女特有の(と思われている)陰口いじめ噂話嫉妬、家庭や生理を理由にした甘えだらしなさ腕力不足そのほ ....
明るい朝の日差しのなかで。
痙攣する手が手渡そうとする綿毛のたんぽぽ。
飛び立ってゆく綿毛、綿毛、
白いこどもたち。
白いのは綿毛ではなく世界ではなく私の視界でありより正しく言うならば ....
浴衣を着たこどもなのでした
まだ菜種梅雨も過ぎぬというのに
二本の鉛筆のように突き出た裸足は
春泥にまみれているのでした
これあげる
こどもはあかるい声で言いました
小さな手に握られて ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった
呑んだくれた ....
明日がある
と貴方が言ったので
私はすこしだけ淋しかった
いつだっけ
明日がどこにあるの
と尋ねたら
東北東
と答えたのよね
貴方は
どこからくるのか知らないけれど
明日は ....
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした
花はバラ色
空は空色
木々は緑
図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
....
歌いたい歌はもう歌われた歌ばかり
聞こえないものを聞き取る見えぬ耳
自民党巨人牛肉米国貴様
手と足をもいでもできるウォーゲーム
憲法にない奉公で自衛隊
台風よ ....
窓ガラスがかたかたと鳴るのは
風のせいではない
カーテンが明るさに焦げているのは
西日のせいではない
窓に背を向けて本を読み続ける
誰かが肩に手を置く
焦げた風が髪をちぢらせる臭い ....
焚き火の火を見つめながら
煙草を吸っているから
涙もくしゃみも煙のせいにできる
焚き付けの新聞紙にはテロのニュース
世の中のもめごとみんな燃やしてすっきり
なんてわけにはいかないけど
....